シラバス - 国際紛争解決法

  • ナンバリングコードCode
    ILA-exp3-305
  • 科目名Subject Name
    国際紛争解決法
  • 担当者名Instructor
    高柴 優貴子(実務家)
  • 単位Credit
    2
  • 履修年次Standard Year for Registration
    3-4
  • 学期Semester
    後期
  • クラスClass
  • 曜限Day/Period
    火曜2時限
  • 教室Classroom
    3-402
  • 授業形態Course Type
    講義・演習
  • メディア授業Distance Learning Course
  • 備考Remarks
    使用言語:日本語
  • 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience
  • 学内単位互換科目としての受講可否Availability for inter-departmental credit transfer

授業の到達目標Objectives to be Attained

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
C(総合的な学修経験・創造性)
講義担当者は、旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)検察局、国際司法裁判所(ICJ)、及び外務省国際法局国際法課において国際法実務に携わってきました。その経験を活かし、国際法の世界がどう動いているのかを皆さんと共有しながら、本講義では国際法を用いた紛争解決のあり方を考えていきます。

現在世界を揺るがせている①ロシアによるウクライナ侵攻(2014〜、2022〜)と②イスラエル=パレスチナ紛争の背景については特に深掘りします。両紛争について、グループ学習を通じて順を追って基礎から理解したい人や、*メディアリテラシー*を身につけたい人には是非履修を勧めます。

紛争とは何かを考え、国際紛争解決法の基本構造を把握した後、セレクトされた具体的な紛争を検討しながら国家間紛争解決の機能と限界について多角的に考えることを目的とします。

またこの授業ではペアで協働し、「他者に伝わる」プレゼンテーションの流儀を身につけます。前年度の履修者が残してくれた「国際紛争解決法プレゼンテーションのコツ(毎年更新)」を参考に、ペア別指導を受けつつ準備します。

次の3点のトレーニングに主眼を置きます:
①事実関係から構成されるnarrative(初回に解説)に意識的に目を向け、「部分の羅列」ではなく「ストーリー」として理解する。
②適用される国際法規範・制度を理解すると共に、紛争の置かれた「文脈」の解釈が最終的にどのように紛争解決に影響するかを理解する。
③上述①、②を「自分の言葉で」分かりやすく表現する。

授業の概要Course Overview

講義担当者は、旧ユーゴ国際刑事裁判所(ICTY)検察局法律顧問部(2000-2002)、国際司法裁判所(ICJ)法務部(2002-2005, 2009-2012)、及び外務省国際法局国際法課(2012-2014)において国際法実務に携わってきました。その経験を活かし、国際法の世界がどう動いているのかを皆さんと共有しながら、本講義では国際法を用いた紛争解決のあり方を考えていきます。

実務経験を活かし、チームワークを重視した双方向的な授業を行います。毎回の授業を通じ、①チームで事実関係を調査した上で、②当事国の主張とそれに対する裁判所の判断(抜粋)を学びます。特に上述の二つの紛争(ロシア対ウクライナ、イスラエル対パレスチナ)についてはさまざまな側面を分解するため、グループ学習を多く取り入れます。

Moodleで指定された文書を毎回事前に読解し、自分の言葉で説明できる様にすることを目指します。

参照する条文は国際条約集に所収のものについては日本語訳を用いますが、決議・判例や声明の抜粋についてはできるだけ原文で読むことで、国際社会で実際に使用される表現に慣れ、行間を読む力を養っていきます。(最初の数回、丁寧に勘所を説明する上、授業の進展に従い必ず慣れていきますので心配要りません。)ワークシートの形にして事前に配布するので(Wordドキュメントで2ページ程度)必ず読み、毎回の授業において積極的にディスカッションに参加しましょう。

詳細を初回に説明し、グループ分けを行うので必ず出席してください。

なお、遠隔授業を行う場合は、同時双方向テレビ会議システムを用います。

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

⑴ 【ワークシート】配布する判例や声明の抜粋をまとめたアウトラインを事前に読解し、「和訳をつける」のではなく、「大まかにいってどういう状況であるのか」を自分の言葉で説明できるようにすることを目指します。

⑵ 【チームプレゼンテーション】担当する紛争の「事実関係」の調査を行い、これまでの受講者達が残してくれた「国際紛争解決法プレゼンテーションのコツ」を参考にしつつ、発表の準備をします。詳しくは初日に説明します。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

  • 1回目Session 1 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争とは① /予習・チーム発表の準備方法・情報収集の基礎/チーム分け
  • 2回目Session 2 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争とは②/ ロシアによるウクライナ侵攻①
  • 3回目Session 3 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争とは③/ロシアによるウクライナ侵攻②
  • 4回目Session 4 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    国際紛争解決法の基礎①/ロシアによるウクライナ侵攻③
  • 5回目Session 5 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争とメディアリテラシーワークショップ
  • 6回目Session 6 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争解決手続き①/イスラエル=パレスチナ紛争①
  • 7回目Session 7 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争解決手続き②/イスラエル=パレスチナ紛争②
  • 8回目Session 8 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    紛争解決手続き③/イスラエル=パレスチナ紛争③
  • 9回目Session 9 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    その他の係争事件①
  • 10回目Session 10 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    その他の係争事件②
  • 11回目Session 11 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    その他の係争事件③/専門家(experts)の役割
  • 12回目Session 12 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    勧告的意見①
  • 13回目Session 13 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    勧告的意見②
  • 14回目Session 14 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    勧告的意見③

活用される学習方法Learning methods

読解:教科書や論文の読解を通して学習する。/ Reading comprehension: Learn by reading and comprehending textbooks and academic papers.
ディスカッション・ディベート / Discussion, Debate
グループワーク / Group work
調査・フィールドワーク / Survey, Fieldwork
プレゼンテーション / Presentation

教科書・テキストTextbooks

『国際条約集』有斐閣。毎回の授業に必携のこと。

参考書等References

Moodleにて配布

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

⑴ 指定された文献の事前学習
⑵ チーム発表の準備

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

毎回授業中に行う。

成績評価Evaluation

成績評価の方法 / Evaluation Method

毎回の授業への貢献 50%
グループ発表 30%
期末提出課題 20%

「授業への貢献」は次の要素を含みます:
⑴ 指定された文献の事前学習:準備具合(毎回の授業中のディスカッションへの参加によって加点します)。
⑵ 他のチーム発表に対する質問・コメント(単に事実関係に関する質問に留まらず、発表の論点に関係した指摘を特に評価します)。

観点別評価の入力項目(ルーブリックとその使用方法) / Target to be Evaluated

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
C(総合的な学修経験・創造性)
成績評価の規準 / Evaluation Criteria
毎回具体的な紛争を検討しながら国家間紛争解決の機能と限界について多角的に考え、国際法を用いた紛争解決への視座を得ることを目的とします。

またこの授業ではペアで一つの紛争を担当し、「他者に伝わる」プレゼンテーションの流儀を身につけることも目標の一つです。前年度の履修者が残してくれた「国際紛争解決法プレゼンテーションのコツ(毎年更新)」を参考に、ペア別に指導を受けつつ準備します。

①事実関係から構成されるnarrative(初回に解説)に意識的に目を向け、「部分の羅列」ではなく「ストーリー」として理解する。
②適用される国際法規範・制度を理解すると共に、紛争の置かれた「文脈」の解釈が最終的にどのように紛争解決に影響するかを理解する。
③上述①、②を「自分の言葉で」分かりやすく表現する。
評価尺度(水準)/ Evaluation Scale
卓越水準 / Outstanding
毎週 ⑴ 指定された文献の事前学習(個人→グループで疑問点を整理)
担当週の数週間前から ⑵ チーム発表の準備
の双方を十分に行い、自分の言葉で論理的に説明することができる。また自分の担当個所のみならず、課題全体を理解した上で、国際紛争解決法の意義と限界について自分の意見を持つことができる。
目標到達水準 / Excellent
毎週 ⑴ 指定された文献の事前学習(個人→グループで疑問点を整理)
担当週の数週間前から ⑵ チーム発表の準備
の双方を十分に行い、自分の言葉で論理的に説明することができる。また自分の担当個所のみならず、課題全体を理解することができる。
目標途上水準 / Good
毎週 ⑴ 指定された文献の事前学習(個人→グループで疑問点を整理)
担当週の数週間前から ⑵ チーム発表の準備
の双方を十分に行い、自分の言葉で論理的に説明することができる。
目標下限水準 / Adequate
毎週 ⑴ 指定された文献の事前学習(個人→グループで疑問点を整理)
担当週の数週間前から ⑵ チーム発表の準備
の双方を行うことができる。
近接水準 / Inadequate
該当なし
評価不能 / Unevaluable
3回以上の欠席は不可。評価に値する情報が不足。または上記の水準に値せず、能力として評価に不適。
成績評価に関するその他の確認事項 / Other Information for Evaluation
この講義は「知識投下型」ではなく、双方的やり取りを中心に進めるため、成績評価におけるclass participationの比率が非常に高くなっています。毎回の授業で使用するワークシートの理解にあたっては、判決の抜粋の「訳出」ではなく、自分の言葉で要点を説明する力を養います。ペア発表では①担当する紛争の背景理解の解像度の高さ、②発表内容の伝え方の練度、③チームワークを求めます。

履修上の注意Other Course Information

3回以上の欠席や、レポート等書面で課題を提出する際に剽窃行為がある場合、単位が認められないので注意してください。