シラバス - 生命倫理学(2)

  • ナンバリングコードCode
    LIB-int1-241
  • 科目名Subject Name
    生命倫理学(2)
  • 担当者名Instructor
    山根 明弘/山崎 先也/倉田 康路/平 直子/倉光 晃子
  • 単位Credit
    2
  • 履修年次Standard Year for Registration
    1-4
  • 学期Semester
    前期
  • クラスClass
  • 曜限Day/Period
    火曜1時限
  • 教室Classroom
    2-302
  • 授業形態Course Type
    講義・演習
  • メディア授業Distance Learning Course
  • 備考Remarks
    使用言語:日本語
  • 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience
  • 学内単位互換科目としての受講可否Availability for inter-departmental credit transfer
    不可

授業の到達目標Objectives to be Attained

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
D(態度・志向性)
 この授業の到達目標は主に以下の3点である。まず、①生命科学や医療技術等が人間社会に恩恵をもたらす一方で、人間社会や人権、自然環境等に負の影響も与えうる二面性について、信頼できる情報を基に正しく理解できるようになること。そして、②生命科学やそれに付随する各分野の発展がもたらしうる負の側面についての問題点を把握し、地球環境も含めた人間社会全体を俯瞰しながらその解決策について自律的に考えることができるようになること。さらには、③上記①と②についての多様な意見や考え方とその背景を認めながら、社会のあり方や自分自身の生き方についての探究心を常に持ち、かつそれに向けて日常的に実践できようになることである。

授業の概要Method of Instruction

 生命倫理学とは、生命科学とそれを基とした医療技術等の飛躍的な展開の中で、その技術利用に伴う人体や人権、地球環境への侵襲性を抑制し、人類社会のあり方を問い直し、新たな倫理規範や安全性と持続性の確保を求めて1970年代半ばに生まれた比較的新しい学問分野である。近年の生命科学およびその関連分野は、ゲノム解析や細胞工学を基礎とし、臓器移植、iPS細胞やクローン等を用いた再生医療、生殖補助医療、遺伝子治療、ゲノム編集、遺伝子組み換え作物(GMO)の作成等の幅広い分野へと拡大し、その結果、人類に多くの恩恵をもたらしている。その一方で、これらの応用技術の無秩序な利用は同時に、食の安全性や人権、社会の公平性、さらには地球環境などに対して負の影響を与えうる。この授業では、上記の生命科学および関連分野の二面性を理解し、人間社会や自然環境に与える影響についての問題を提起し、多様な意見やその背景を理解しつつ、各受講生が自分自身のなかで答えを求めてゆくものである。

 この講義は、それぞれ異なる専門分野をもつ山根、倉田、倉光、山田、平、山崎の6名の社会福祉学科の専任教員が担当する。
山根は、生殖補助医療、出生前診断、デザイナーベビー、がんの告知や安楽死等をトピックに「生と死の倫理学」について議論する。次に、「生命科学と倫理学」のトピックとして、現在のクローン技術とその可能性、遺伝子組み換え作物の安全性と遺伝子資源に特許を与えることによる危険性や世界の食糧支配についての解説を行う。
 山崎は、スポーツ科学の観点から、ドーピング等による肉体改造(エンハンスメント)についての現状を説明し、その安全性や公平性について議論する。
 倉田は老化について、倉光は出生前診断について、山田は医療における意思決定について、より福祉や医療の現場に近接した「生と死の倫理学」についての話題提供を行う。
 平は、国内外の精神医療の現状を紹介しながら、人権を尊重した精神医療のあり方について議論する。

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

 日常的に生命倫理学的ニュースや情報に関心をもち、自分の考えを持つことが求められる。また、ミニレポートを課すこともある。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

  • 1回目Session 1 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ガイダンス:自己紹介、スケジュールと内容、成績評価、生命倫理学とは?(山根)
  • 2回目Session 2 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生と死の倫理学(1):生殖補助医療とは?(山根)
  • 3回目Session 3 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生と死の倫理学(2):男女産み分け、出生前診断、デザイナーベビーを認めるべきか?(山根)
  • 4回目Session 4 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生と死の倫理学(3):ガンは告知すべきか?(山根)
  • 5回目Session 5 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生と死の倫理学(4):安楽死と永遠の命について考える(山根)
  • 6回目Session 6 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生命科学と倫理学(1):クローン技術の可能性とその是非(山根)
  • 7回目Session 7 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生命科学と倫理学(2):遺伝子検査と親子判定について考える(山根)
  • 8回目Session 8 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    人が老いるということ I(倉田)
  • 9回目Session 9 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    人が老いるということ II(倉田)
  • 10回目Session 10 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    出生前診断の現状(倉光)
  • 11回目Session 11 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    精神医療のあり方について(平)
  • 12回目Session 12 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    スポーツにおけるエンハンスメント(ドーピング)①(山崎)
  • 13回目Session 13 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    スポーツにおけるエンハンスメント(ドーピング)②(山崎)
  • 14回目Session 14 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    生命科学と倫理学(3)&まとめ:ゲノム編集とGMO(遺伝子組換え作物)(山根)

教科書・テキストTextbooks

なし

参考書等References

利光惠子著『受精卵診断と出生前診断—その導入をめぐる争いの現代史』生活書院(2012年)
石井哲也著『ゲノム編集を問う』岩波新書(2017年)
大野和基著『代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳』集英社新書(2009年)
ジェレミー・セイファート 監督『パパ、遺伝子組み替えってなぁに?』2013年、アメリカ
マーク・ロマネク 監督/カズオ・イシグロ 原作『わたしを離さないで』2011年、アメリカ

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

成績評価Evaluation

成績評価の方法 / Evaluation Method

ミニレポート・小テスト等で総合的に判断する。

観点別評価の入力項目(ルーブリックとその使用方法) / Target to be Evaluated

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
D(態度・志向性)
成績評価の規準 / Evaluation Criteria
①生命科学の発展が人間社会に恩恵を与えている側面と、一方で自然環境や人間社会、人権、命の尊厳等に負の影響を及ぼしうる側面ついて、信頼に足る情報を基にした知識を習得していること。②生命科学の発展がもたらしうる負の側面についての問題点を把握し、自然環境や人間社会全体を俯瞰しながらその解決策について自律的に考えることができること。③上記①と②についての多様な考え方とその背景を認めながら、社会における理想や自分自身の生き方についての探究心を常に持ち、かつそれに向けて日常的に実践できること。
評価尺度(水準)/ Evaluation Scale
卓越水準 / Outstanding
上記、「成績評価の規準」①~③を充分に達成でき、かつ卓越している。
目標到達水準 / Excellent
上記、「成績評価の規準」①~③を充分に達成できている。
目標途上水準 / Good
上記、「成績評価の規準」①~③をほぼ/\達成できている。
目標下限水準 / Adequate
上記、「成績評価の規準」①と②を部分的に達成できている。
近接水準 / Inadequate
該当なし
評価不能 / Unevaluable
評価に値する情報が不足。または上記の水準に値せず、能力として評価に不適
成績評価に関するその他の確認事項 / Other Information for Evaluation

履修上の注意Other Course Information

講義で使用したスライドは、随時Moodleにアップする。受講時には大人としてのマナーが求められる。