シラバス - 国際私法I(総論・家族法)
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- ナンバリングコードCode
- ILA-bas2-201
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- 科目名Subject Name
- 国際私法I(総論・家族法)
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- 担当者名Instructor
- 釜谷 真史
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- 単位Credit
- 4
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- 履修年次Standard Year for Registration
- 2-4/3-4
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- 学期Semester
- 前期
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- クラスClass
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- 曜限Day/Period
- 火曜1時限/金曜1時限
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- 教室Classroom
- 4-203
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- 授業形態Course Type
- 講義・演習
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- メディア授業Distance Learning Course
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- 備考Remarks
- 使用言語:日本語
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- 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience
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- 学内単位互換科目としての受講可否Availability for inter-departmental credit transfer
- 可
授業の到達目標Objectives to be Attained
SEQ 1
- DP観点 / Diploma Policy
Target Category - B(思考力・判断力・表現力等)
- 本講義のテーマは、国際私法総論および国際家族法です。国際家族法の分野に重点を置きつつ「国際私法」についての基礎的・全般的知識を概観することで、①「国際私法」という法分野の必要性や全体構造を理解し、②国際私法各論のうち、家族法分野(国際家族法)についての具体的な典型事例において解決の基準を、主体的に導けるようになることを到達目標としています。
具体的には、国際的な私人間の民事紛争、たとえば
「外国で結婚した日本人歌手は、日本で婚姻届を出さない限り結婚していることにはならないのか?」
「日本人が、代理母出産を有効とする州でアメリカ人と代理母契約を結び子が生まれたが、代理母出産が法的に禁じられている日本において、この日本人依頼者と子との間に親子関係が生じることになるのか?」
「国際結婚したカップルが離婚することになったが、子の親権は日本のように父か母のいずれかだけが持つことになるのか、それとも父母が共同でもつことになるのか?」
「韓国人が日本に不動産を遺して死亡した後に相続問題が持ち上がったが、相続分の算定はどこの国の法が基準になるのか?」
といったケースにつき、日本の国際私法上、どこの国の法(準拠法)を適用し解決すべきことになるのか、国際私法の4つのプロセスにしたがい、自分の口(話す)・手(書く)で説明できるようになりましょう。
授業の概要Method of Instruction
<28回の構成>
最初に、①「国際私法序論」として、「国際関係法入門」でも触れた国際私法の典型的問題を通じ国際私法の必要性を確認したうえで、日本が国際私法をどのように規定し、どのように準拠法を決定することにしているのかという、国際私法の基礎を押さえます。そのうえで、②「国際私法各論(家族法)」として、国際的な家族関係をめぐる問題(婚姻、実親子関係、養親子関係、後見・失踪宣告、相続・遺言)について、準拠法決定の方法を詳しく学びます。③その後、「国際私法総論」として、準拠法決定の4プロセスを詳しく見ていくこととします。
その際、受講する皆さんが自分たちの力で国際私法的問題を解決する力を付けられるように、具体的事例を多く織り込み(各単元で「確認問題」「Caseシート」を用います)、繰り返し学べるオンライン教材(Moodle内「ミニテスト」)を用意し、また対面講義回はグループワーク形式で実施します。
<毎回の構成>
オンデマンド授業と対面式授業とを組み合わせ、2週で1単元のサイクルで学習していきます(いわゆる反転型授業)。下記授業計画は変更の可能性がありますので、ご注意ください。
【オンデマンド回】
①準備: 配布資料一式(レジュメ・資料・「Caseシート」等)をダウンロード・印刷する〔10分〕。また、範囲内のレジュメや教科書を参考に、レジュメ内「動画視聴前チェックリスト」に取り組む〔10分〕。
②動画視聴: レジュメ・資料を参照しながら、動画を視聴する(レジュメ内「確認問題」を解き、答え合わせをする)〔60分〕。
③「ミニテスト」を使って復習: 教科書を読み内容を整理し、Moodle内「ミニテスト」を解き、満点になるまで挑戦する〔60分〕。
④終了の報告: Moodle内「理解度報告&質問提出フォーム」に回答する〔10分〕。
【対面回】*毎回、座席及びグループを指定します
(1)グループワーク
1)「当日課題」(当日、2つ程度の討論用の課題を出します)に関するグループワーク 〔30分〕
2)「Caseシート」に関するグループワーク 〔15分〕
(2)教員による解説・コメント等 〔30分〕
(3)「確認テスト」受験及び「振り返りシート」提出〔20分〕
事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)
受講登録者には初回授業1週間前までには初回授業案内をMoodleからメール送信しますので、かならず確認し、レジュメ等のダウンロードを済ませておいてください。
授業計画(各回の授業内容)Course Outline
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- 1回目Session 1 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【0:対面】ガイダンス(国際私法の必要性)
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- 2回目Session 2 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【1:オンデマンド】国際私法の必要性/国際私法の方法
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- 3回目Session 3 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【1:対面】国際私法の必要性/国際私法の方法
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- 4回目Session 4 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【2:オンデマンド】婚姻の実質的成立要件
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- 5回目Session 5 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【2:対面】婚姻の実質的成立要件
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- 6回目Session 6 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【3:オンデマンド】婚姻の形式的成立要件
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- 7回目Session 7 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【4:オンデマンド】婚姻の一般的効力・財産的効力
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- 8回目Session 8 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【3:対面】婚姻の形式的成立要件
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- 9回目Session 9 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【4:対面】婚姻の一般的効力・財産的効力
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- 10回目Session 10 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【5:オンデマンド】離婚・婚姻類似の効力
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- 11回目Session 11 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【5:対面】離婚・婚姻類似の効力
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- 12回目Session 12 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【6:オンデマンド】実親子関係
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- 13回目Session 13 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【6:対面】実親子関係
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- 14回目Session 14 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【7:オンデマンド】養親子関係/親子関係
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- 15回目Session 15 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【7:対面】養親子関係/親子関係
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- 16回目Session 16 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【7:オンデマンド】自然人(失踪宣告・後見・行為能力)
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- 17回目Session 17 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【7:対面】自然人(失踪宣告・後見・行為能力)
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- 18回目Session 18 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【9:オンデマンド】相続/国際私法の目的
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- 19回目Session 19 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【9:対面】相続/国際私法の目的
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- 20回目Session 20 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【10:オンデマンド】第1プロセス(法性決定・先決問題)
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- 21回目Session 21 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【10:対面】第1プロセス(法性決定・先決問題)
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- 22回目Session 22 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【11:オンデマンド】第2プロセス(国籍・常居所)
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- 23回目Session 23 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【11:対面】第2プロセス(国籍・常居所)
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- 24回目Session 24 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【12:オンデマンド】第3プロセス(不統一法国・反致)
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- 25回目Session 25 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【12:対面】第3プロセス(不統一法国・反致)
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- 26回目Session 26 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【13:オンデマンド】第4プロセス(公序)
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- 27回目Session 27 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- 【13:対面】第4プロセス(公序)
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- 28回目Session 28 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
- まとめ/ 最終試験
教科書・テキストTextbooks
櫻田嘉章「国際私法[第7版]」(有斐閣Sシリーズ)
櫻田嘉章ほか「国際私法CASE30」(有斐閣)
参考書等References
(1)道垣内正人=中西康編「国際私法判例百選[第3版]」(有斐閣)
(2)中西康ほか「国際私法」(有斐閣 LEGAL QUESTシリーズ)
課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.
【オンデマンド回】
・「動画視聴前チェックリスト」(レジュメ内。各自で書き込み)
・「確認問題」(レジュメ内。各自で書き込み、動画内で解説)
・「理解度報告&質問提出フォーム」(Moodle内に設置、期限内に1回のみ回答可能。動画やミニテストの理解度を報告し、質問を書き込む)
・「ミニテスト」(Moodle内に設置、期限内に何度でも取り組み可能)
【対面回】
・「確認テスト」(Moodle内に設置。対面授業内に1回のみ回答可能)
・「グループワークシート」「振り返りシート」(Moodle内に設置。授業内でのグループでの取り組みを記録)
・「最終試験」(最終回に実施。記号選択式と論述式の組み合わせ)
課題に対するフィードバックの方法Feedback Method
・「動画視聴前チェックリスト」「確認問題」に関しては、動画内で解説します。
・「ミニテスト」「確認テスト」に関してはMoodle内で評価、解説します。
・「Caseシート」「理解度報告&質問提出フォーム」「グループワークシート」「振り返りシート」に関しては、対面講義回でコメント、解説します。
成績評価Evaluation
成績評価の方法 / Evaluation Method
(1)技能点(50点):「単元ブロックテスト」(30点)「グループワークシート」「振り返りシート」(10点:回答充実度で評価する)「最終試験」(10点)
(2)取組点(50点):「理解度報告&質問提出フォーム」の提出(20点:回答充実度で評価する)「ミニテスト」(30点:期限内取り組みの最高点を評価対象とする)
観点別評価の入力項目(ルーブリックとその使用方法) / Target to be Evaluated
SEQ 1
- DP観点 / Diploma Policy
Target Category - B(思考力・判断力・表現力等)
- 成績評価の規準 / Evaluation Criteria
- ①「国際私法」という法分野の必要性や全体構造を理解していること
②国際家族法についての具体的な典型事例について、法の適用に関する通則法を適用し、4つのプロセスにしたがって解決方法を説明できること
- 評価尺度(水準)/ Evaluation Scale
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- 卓越水準 / Outstanding
- 国際私法の必要性や目的、総則・国際家族法についての抵触規則をすべての分野にわたり正確に理解している。国際家族法の幅広い分野の具体的事例について、現行法に基づき、4つのプロセスに従い、解決の道筋を示すことができる。国際私法についての自身の理解を、グループワークの中で、他の学生に主体的に積極的に、かつ適切に示すことができている。
- 目標到達水準 / Excellent
- 国際私法の必要性や目的、総則・国際家族法についての抵触規則を正確に理解している。国際家族法分野の具体的事例について、現行法に基づき、4つのプロセスに従い、解決の道筋を示すことができる。国際私法についての自身の理解を、グループワークの中で、他の学生に主体的に示すことができている。
- 目標途上水準 / Good
- 国際私法の必要性や目的、総則・国際家族法についての抵触規則をほぼ正確に理解している。国際家族法分野の多くの具体的事例について、現行法に基づき、4つのプロセスに従い、解決の道筋を示すことができる。国際私法についての自身の理解を、グループワークの中で、他の学生に示すことができている。
- 目標下限水準 / Adequate
- 国際私法の必要性や目的、総則・国際家族法についての抵触規則を大枠については理解している。国際家族法分野の具体的事例について、現行法に基づき、ある程度論理だてて解決の道筋を示すことができる。国際私法についての自身の理解を、グループワークの中である程度他の学生に示すことができている。
- 近接水準 / Inadequate
- 該当なし
- 評価不能 / Unevaluable
- 評価に値する情報が不足。または上記の水準に値せず、能力として評価に不適
- 成績評価に関するその他の確認事項 / Other Information for Evaluation
履修上の注意Other Course Information
(1)毎回こつこつ、積極的に取り組みましょう: 「成績評価」に記した通り、最終試験の配点は10%のみ、残り90%は毎回のオンデマンド授業・対面授業に割り振っています。また、対面授業では毎回グループワークがあり、オンデマンド授業での学びを前提とした課題に取り組みます。これは、「国際私法が他の法律科目以上に抽象的で難しい」とか、「大講義授業をただ聴くだけでは理解できているか不安」との過去の受講生からの声にこたえたものです。単元ごとに少しずつ着実に、また自分の理解や疑問を言葉にして他の受講生と議論することで、楽しく国際私法を学んでほしいと願っています。他方、「最終試験一発勝負!」「とりあえず出席すればいいや」という人には向きませんので、ご注意ください。
(2)法律学科の皆さんも歓迎します: 「国際」という名が付いていますが、国際法よりは民法・商法・民事手続法より近い法分野であり、司法試験の選択科目にもなっています(「国際関係法(私法系)」)。戸籍実務の話も出てきますので、市役所等を目指す皆さんにも興味を持ってもらえると思います。国関法の皆さんはもちろん、法律学科の皆さんもぜひ受講してください。法曹や公務員志望者の受講も強くお勧めします。
(3)他の関連科目の履修の勧め
1)「国際私法Ⅱ(財産法)」(後期)は、「国際私法Ⅰ」履修者のみ登録可能です。国際私法各論のうち、本講義で扱うことのできない、国際契約や国際不法行為といった財産法分野を取り扱いますので、ぜひセットで受講してください。また、「国際取引法」「国際民事手続法」もぜひ一緒に(または今後)受講して、国際私法に関する知識を深めてください。
2)民法、とくに「家族法」「総則」の履修後のほうが望ましいのですが、未履修でも構いません(「国際家族法」の単元では毎回冒頭で民法のミニ・レクチャーを行います)。ただ、「国際私法Ⅰ」を先に履修する場合も、履修後に(あるいは同時に)ぜひ民法も履修してみてください。より理解が深まり興味も沸き、法律学習の面白さを感じてもらえることと思います。