シラバス - 経済思想史

  • ナンバリングコードCode
    ECO-the2-203
  • 科目名Subject Name
    経済思想史
  • 担当者名Instructor
    江里口 拓
  • 単位Credit
    4
  • 履修年次Standard Year for Registration
    2-4
  • 学期Semester
    前期
  • クラスClass
  • 曜限Day/Period
    金曜1時限/火曜2時限
  • 教室Classroom
    4-303
  • 授業形態Course Type
    講義・演習
  • メディア授業Distance Learning Course
  • 備考Remarks
    使用言語:日本語
  • 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience
  • 学内単位互換科目としての受講可否Availability for inter-departmental credit transfer

授業の到達目標Objectives to be Attained

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
A(知識・技能)
経済政策や経済史、応用経済学の基礎を理解し、現実経済・社会の実態を多面的に把握できること,経済理論と実証分析の基礎を理解し、市場の役割と限界や数量的分析の有用性を認識できることを目標とする。経済思想史の目標は,経済をめぐる「無意識の意識化」です。物事がうまく行かない時,自己の「とらわれ」を見直す必要があります。過去の偉人の声に耳を傾け,互いの価値観をぶつけ合うコミュニケーション作業も必要です。そのためには以下の3つがポイントになります。
(1)経済思想の基本となる考え方のパターンについて深く理解する。
(2)そうした基本的経済思想は現代を素材にすると何を語りかけてくるかを理解する。
(3)現代を素材にして経済思想からの本質的な問題解決策を理解する。

授業の概要Method of Instruction

「モノは考えよう」ですが,考え方を「変える」ことは案外難しいですね。多くの「無意識」に影響されているからです。GDPの伸び悩み,企業社会・社会人モデルの変容,少子高齢化,自己責任・格差の拡大,SDG'sなど,様々な課題をかかえる日本ですが,僕らはついつい惰性で思考し,問題もなかなか解決しません。特に,現代日本では,人財形成をコストではなく人的資本投資とみなす福祉国家戦略が求められています。そのためには,歪曲された経済思想が,「無意識」に影響し,意図せざる結果を生み出す「構造(変えにくい仕組み)」に気づいて欲しいです。経済思想史は「リベラルアーツ」として,僕らの生活を豊かなものにできる知恵を身につけるべく,ディスカッション,挙手発言,小レポートなど様々な媒体で自分の意見をもって他者とコミュニケーションする方法を追求します。

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

授業で使用するプリントについては事前配布(ダウンロード形式)するので,目を通して,授業に持参してください。事後学習としては,自己の気に入った思想家について,「独創的」な意見を出せるように,新聞・ニュースなどの時事問題に目配りを欠かさないようにして下さい。「独創的」とは決して天才的という意味ではなく,普遍的な真理を,自分の日常経験に見いだし,自分の言葉で説明できる事だと思います。表面的には随分と違ってみえる私たちですが,深いレベルで共通点・普遍性を見い出せれば,相互理解も深まるのではないでしょうか。平凡な日常から学ぶことができるはずです。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

  • 1回目Session 1 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    概要説明:独創性とは何か,古典を再解釈して現代に活かす
  • 2回目Session 2 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    経済思想史の概観と新自由主義:現代はどこから始まったか?:全体ディベート
  • 3回目Session 3 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    アダムスミスへ帰れ:サッチャリズム,ハイエク,ブキャナン,フリードマン
  • 4回目Session 4 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    新自由主義とアダム・スミス:全体ディベート
  • 5回目Session 5 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    アダム・スミスの予定調和的世界観と市場原理
  • 6回目Session 6 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    アダム・スミスの道徳感情論:全体ディベート
  • 7回目Session 7 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    リカードとマルサスの自由貿易論争:全体ディベート
  • 8回目Session 8 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    リカードとマルサスの救貧法廃止論:自由主義的福祉政策
  • 9回目Session 9 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ベンサムの功利主義(1):快楽主義(ミクロ経済学の人間的基礎):全体ディベート
  • 10回目Session 10 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ベンサムの功利主義(2):最大多数の最大幸福(マクロ経済学の基本発想)
  • 11回目Session 11 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ベンサムの福祉政策論:限界効用逓減の法則と「生存」保障:全体ディベート
  • 12回目Session 12 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    映像資料と小レポート:ヴィクトリア時代の貧困
  • 13回目Session 13 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    格差社会とブルジョア文化,マルクス主義
  • 14回目Session 14 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    階級社会と近代経済学:マルクス主義と福祉国家論:全体ディベート
  • 15回目Session 15 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    J.S.ミルにおける功利主義と自由:ストレス社会を生きる知恵
  • 16回目Session 16 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    J.S.ミルと成熟社会:マズローの欲求5段階説と自己実現:全体ディベート
  • 17回目Session 17 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    エッジワースの貴族的功利主義:功利主義は社会主義なのか?
  • 18回目Session 18 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    エッジワースとラスキン:全体ディベート
  • 19回目Session 19 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    マーシャル経済学における経済騎士道:企業者の役割と人財育成
  • 20回目Session 20 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    マーシャル経済学における経営者資本主義論:全体ディベート
  • 21回目Session 21 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ウェッブ夫妻:貧困のスパイラル
  • 22回目Session 22 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ウェッブ夫妻によるマーシャル批判:全体ディベート
  • 23回目Session 23 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ウェッブ夫妻におけるナショナル・ミニマムと自由貿易
  • 24回目Session 24 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ウェッブ夫妻における福祉国家と地方財政,ピグーの厚生経済学:全体ディベート
  • 25回目Session 25 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ケインズ経済学:パシネッティの因果説的解釈
  • 26回目Session 26 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    ケインズ・ベヴァリッジ体制:社会保険と景気循環:全体ディベート
  • 27回目Session 27 遠隔授業 (Distance) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    日本型福祉社会論と性別役割分業
  • 28回目Session 28 対面授業 (Face-to-Face) 事前・事後学習 Study required outside class(Preparation/review):200分
    日本型福祉社会論とオランダ・モデルの経済思想

教科書・テキストTextbooks

小峯敦編『福祉の経済思想家たち』ナカニシヤ書房
(副読本的に使用します。)

参考書等References

江里口拓『福祉国家の効率と制御:ウェッブ夫妻の経済思想』昭和堂 
(図書館にあります。)

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

過去の経済思想を題材にして,その普遍性について,自己の独創性ある解釈と意見を形成し,明快かつ効果的に意見表明できるかどうかを問います。具体的には,小レポートの執筆,挙手発言,相互のディベート・ディスカッション,教員との対話問答,期末試験などで多面的にチェックします。討論の「うねり」を作り出せた意見を高く評価します。

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

小レポートを課す度に,次回の講義で,独創的意見について講評を行います。また,可能な限り,挙手発表の機会を設け,その都度でコメントや講評を行います。経済思想を自分のものにし,明快で独創的な意見を形成できている人については,その長所を講義中に共有します。

成績評価Evaluation

成績評価の方法 / Evaluation Method

(1)期末試験(論述式)の成績で主に判断する(100点満点)。
(2)小レポート,挙手発表は,加算的に評価(100点+アルファ)する。特に熱心で優れた受講生には,特別に期末試験を免除することがある。形式的な出席点ではないので注意。
(3)私語や騒動など他の受講生の迷惑になる行為には最大50点の減点を行う。

観点別評価の入力項目(ルーブリックとその使用方法) / Target to be Evaluated

SEQ 1

DP観点 / Diploma Policy
Target Category
A(知識・技能)
成績評価の規準 / Evaluation Criteria
経済政策や経済史、応用経済学の基礎を理解し、現実経済・社会の実態を多面的に把握できること,経済理論と実証分析の基礎を理解し、市場の役割と限界や数量的分析の有用性を認識できることを目標とする。経済思想史の目標は,経済をめぐる「無意識の意識化」です。物事がうまく行かない時,自己の「とらわれ」を見直す必要があります。過去の偉人の声に耳を傾け,互いの価値観をぶつけ合うコミュニケーション作業も必要です。そのためには以下の3つがポイントになります。
(1)経済思想の基本となる考え方のパターンについて深く理解する。
(2)そうした基本的経済思想は現代を素材にすると何を語りかけてくるかを理解する。
(3)現代を素材にして経済思想からの本質的な問題解決策を理解する。
評価尺度(水準)/ Evaluation Scale
卓越水準 / Outstanding
自分の身の回りにある社会問題を経済思想史の知見をもとに観察するにあたって卓越した視点を持っており,その知見を具体的な課題に応用するにあたって,きわめて合理的な思考や問題整理ができる。その知見をもとに社会の成員として,具体的にどのような取り組みや行動が可能かについて,当事者としての卓越した見識を持っており,身近な実践に活用できている。
目標到達水準 / Excellent
自分の身の回りにある社会問題を経済思想史の知見から見るにあたって優れた視点を持っており,その知見を具体的な課題に応用するにあたって,非常に合理的な思考ができる。その知見をもとに社会の成員として,具体的にどのような取り組みや行動が可能かについて,当事者としての優れた見識を持っていたり,身近な実践に活用できている。
目標途上水準 / Good
自分の身の回りにある社会問題を経済思想史の知見から見るにあたって優れた視点を持っており,その知見を具体的な課題に応用するにあたって,合理的な思考ができる。経済思想史の知見をもとに,社会の成員として,具体的にどのような取り組みや行動が可能かについて,当事者としての見識を持っている。
目標下限水準 / Adequate
自分の身の回りにある社会問題を経済思想史の知見をもとに見る視点をなんとか持っている。また,その知見をその解決策の実現可能性について経済学的な判断を下すにあたって,ある程度は合理的な思考ができる。経済思想史の知見をもとに社会の成員として,具体的にどのような取り組みや行動が可能かについて,当事者としての視点があるにはある。
近接水準 / Inadequate
該当なし
評価不能 / Unevaluable
評価に値する情報が不足。または上記の水準に値せず、能力として評価に不適
成績評価に関するその他の確認事項 / Other Information for Evaluation

履修上の注意Other Course Information

私語をしている受講生には,注意の意味から,簡単な理解度を問うことがあります。その場合,「分かりません」という安易な応答は,厳しく減点(最大マイナス50点)もしくは学籍番号を控えて退場を命じることがあります。小レポート用紙は配布時のものだけ使用すること。過去に配布したものの再使用,遅刻して友人から受け取る,その他,加算評価対象で不正が発覚した場合には,一回でもマイナス50点にする場合があります。配布時に受け取らなかった人には再配布をしませんが,遅刻した際は,ルーズリーフの切れ端で提出してもかまいませんし,内容が良ければ,減点するだけで加点できます。