シラバス - 宗教心理学

  • ナンバリングコードCode
  • 科目名Subject Name
  • 担当者名Instructor
    才藤 千津子
  • 単位Credit
    4
  • 履修年次Standard Year for Registration
    1-4/2-4
  • 学期Semester
    通年
  • クラスClass
  • 曜限Day/Period
    木曜3時限
  • 教室Classroom
    1-201
  • 備考Remarks
    宗教心理学B

    使用言語:日本語
  • 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience

授業の到達目標Objectives to be Attained

 この授業では、宗教心理学概論としてさまざまな宗教現象を現代心理学の研究成果を通して学びます。その際、宗教の立場から「宗教はわたしたちの生活にどのような影響を与えているか」「宗教をどう理解すれば良いか」という問いを持って授業を進めます。また、将来牧会や宗教教育などに携わる学生が教会や学校など現場で起こる問題について基本的知識を得られるように、実践的なテーマも取り上げます。この授業の目標は、受講生が現代の宗教心理学の主なテーマを理解し、それについて考察し、各自の興味関心にしたがって期末レポートを書くことが出来るようになることです。

授業の概要Course Overview

 この授業では、宗教心理学とは何か、どういう歴史をもっているのかを確認したあと、精神科医ジグムント・フロイトやカール・ユング、ビクトール・フランクルの理論と宗教観について考察します。また、児童期から老年期までの人間の発達と宗教との関わりについて学びます。後半は、カルト問題や終末期医療の問題など、宗教と心理学とが交差する地点に生起する現代社会の問題を取り上げ、考察します。
 授業は、各回の授業内容に沿って、スライドやプリントを使い、教員による講義と受講生による発表、全員でのディスカッションを交えながら授業を進めます。各講義の終了時には、出席カードの裏にコメント・質問を書いて提出してください。できるだけ受講生との対話ができるように工夫します。必要に応じて映像資料を使用します。
 また、事前学習課題や授業の資料の閲覧、課題の提出などはMoodleを使ってできるようにします。受講生は、授業テーマのなかから興味のあるものを選び、1回発表をすることが求められます。また、産駒文献に関するブックレポートの提出を求めます。

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

本科目は講義科目です。授業各回に以下のように0.5コマ相当の自主学習が求められます。
1.次の授業での討論のためのリーディングの課題を出すので、事前に準備してくること(4割)。
2.毎回の授業後、授業についての感想や質問などをMoodleで提出すること(2割)。
3.自主的に発表やブックレポート提出の準備をすること(4割)。
4.ビデオ視聴の課題を出しますので、その際には図書館のAVライブラリーで借りて見てください。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

  • 1回目Session 1
    オリエンテーション〜宗教心理学とは何か 
  • 2回目Session 2
    宗教心理学の歴史、その研究法、研究分野
  • 3回目Session 3
    ジグムント・フロイトと宗教性(1)精神分析学
  • 4回目Session 4
    ジグムント・フロイトと宗教性(2)フロイトの宗教批判
  • 5回目Session 5
    カール・グスタフ・ユングと宗教性 (学生発表)
  • 6回目Session 6
    ビクトール・フランクルと宗教性(1)『夜と霧』    (学生発表)
  • 7回目Session 7
    ビクトール・フランクルと宗教性(2) フランクルの宗教論
  • 8回目Session 8
    子どもと宗教:神のイメージの形成  (学生発表) 
  • 9回目Session 9
    青年期と宗教:アイデンティティの確立と宗教的回心 (学生発表)   
  • 10回目Session 10
    中高年期と宗教 自己実現・老いと宗教性 (学生発表)
  • 11回目Session 11
    カルト問題とスピリチュアル・アビューズ:オウム真理教事件から学ぶ (学生発表)   
  • 12回目Session 12
    東洋の宗教と心理療法:マインドフルネス (学生発表)
  • 13回目Session 13
    精神的病いと教会の働き: べてるの家  (学生発表)
  • 14回目Session 14
    終末期医療とスピリチュアリティ: ホスピス/病院チャプレンの働き (学生発表)      

教科書・テキストTextbooks

なし。毎回プリントを配布します。また、必要な資料はMoodle上にアップします。

参考書等References

ウイリアム・ジェイムズ『宗教的経験の諸相(上)』(岩波文庫)岩波書店、 1969年
ルドルフ・オットー『聖なるもの』 (岩波文庫)岩波書店、1968年
ジークムント・フロイト『幻想の未来/文化への不満』(光文社古典新訳文庫)中山元訳、光文社、2007年
小此木啓吾『フロイト』(講談社学術文庫)講談社、1989年
カール・グスタフ・ユング『人間と象徴—無意識の世界 上・下』河出書房新社、1975年
河合隼雄『ユング心理学入門』(岩波現代文庫)岩波書店、2009年
ヴィクトール・フランクル『夜と霧 新版』 みすず書房、2014年
エリック・H.・エリクソン『青年ルター1・2』西平直訳、みすず書房、2002年
西田公昭『マインド・コントロールとは何か』紀伊国屋書店、1995年
ウイリアム・ウッド『教会がカルト化するとき(改訂新版)』いのちのことば社、2015年
工藤信夫『真実の福音を求めて—信仰による人間疎外、その後』いのちのことば社、2015年
向谷地生良『精神障害と教会−教会が教会であるために』いのちのことば社、2015年
グレンジャー・E・ウエストバーグ『すばらしい悲しみ—グリーフが癒される10の段階』(水澤都加佐・水澤寧子
 訳)、2007年
以上の他、適宜授業で紹介します。

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

・各回の課題:各講義後には、内容に関連したテーマに沿って、質問やコメントを提出していただきます。
・発表:発表にあたった学生は、事前に教員と話し合って発表の内容を決め、当日はその概要をまとめてレジュメにしてください。レジュメは、教員も含めて全員分コピーして用意してください。
・ブックレポート:参考文献から1冊選んでブックレポートを書いて下さい。詳細は授業中に説明します。
・期末レポート:自由テーマでA4用紙2枚以上です。詳細は授業中に説明します。

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

各講義後の皆さんのコメントは次の授業において教室でまとめて解説し、コメントを共有するようにします。
教員との連絡は、授業前後の対応を基本としますが、 授業時間以外で連絡をとる最も確実な方法はメールによる連絡です。

成績評価の方法・規準Evaluation Criteria/Method

期末試験に代わる期末レポート 40% (到達目標に関する知識や理解度により評価します。)
平常点  60% (出席カードの質問やコメント20%、ブックレポート1回20%、発表1回20%により評価します。)
   

履修上の注意Other Course Information

・受講生自身の宗教経験についても振り返りながら授業を進めたいと考えていますので、主体的な授業への関わりを希望します。
・この授業は、Moodleを使いながら進めます。Moodleの使い方に習熟してください