シラバス － 民法（親族・相続）

授業の到達目標Objectives to be Attained

本授業では、民法第4編「親族」および第5編「相続」を中心にして、民法の一部である家族に関する法律や制度を学びます。民法は法律学の基本科目の一つであり、法律を学ぶ者に不可欠な基本知識の修得を目指します。
　家族に関する法は、民法典の条文だけを対象とするわけではなく、周辺のさまざまな法律を視野にいれる必要があり、変化する社会で生じるさまざまな問題を考慮する必要があります。また、民法の中でも人間関係に関わる問題を取り扱う領域でもあるため、契約などの財産法的な処理とは異なる性質も有しており、合理的な問題処理では測れない部分がある領域でもあります。そのような特徴を有した分野であることを理解し、家族に関する問題の解決・紛争処理の手続きをしっかりと理解できるように心がけてもらいたいと考えています。現代社会において生じる家族に関するさまざまな問題について深い関心を持ち、家族に関する基本的な法律の仕組みやルールのあり方および学説や判例の基本的な考え方を学ぶことを通して、家族法に関する基本的な知識を身に着け、柔軟にものごとを考えることができるようになることを目指します。

授業の概要Method of Instruction

　本授業では、民法典第4編および第5編を主たる対象とし、夫婦関係および親子関係に関する法律問題や相続に関する法律問題について学んでいきます。毎回の授業は、毎回配布するレジメと教科書を用いながら進めていき、具体的な事例や判例を取り上げ、それぞれ問題点を指摘しながら授業を進めていきます。
　
　

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

　毎回、レジメを配布しますが、あらかじめMoodleにもアップしますので、レジメに目を通すとともに、教科書の該当箇所を読むなどして、予習してきてください。1時間程度の時間をかけてください。
　また、授業の復習として、2回分を合わせた復習問題を出しますので、授業終了後に復習をすることを忘れないでください。特に、授業で取り上げた判例については再度確認するようにしてください。最低2時間程度の時間をかけてください。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

• 1回目Session 1

  ガイダンス、家族法の変遷・概要

• 2回目Session 2

  家事紛争の解決方法と家庭裁判所の役割

• 3回目Session 3

  親族概念、氏と名と戸籍

• 4回目Session 4

  婚約、婚姻の成立とその要件

• 5回目Session 5

  婚姻の無効と取消し

• 6回目Session 6

  婚姻の効果と夫婦間の権利義務

• 7回目Session 7

  内縁・事実婚の法的保護

• 8回目Session 8

  離婚手続きの概要、協議離婚制度

• 9回目Session 9

  裁判離婚原因と手続き

• 10回目Session 10

  有責配偶者からの離婚請求

• 11回目Session 11

  離婚の効果１：離婚給付・財産分与

• 12回目Session 12

  離婚の効果２：離婚後の未成年子の監護養育、子の引渡し

• 13回目Session 13

  嫡出実親子関係の成立、嫡出推定と嫡出否認制度

• 14回目Session 14

  非嫡出親子関係の成立、認知制度

• 15回目Session 15

  生殖補助医療と法的親子関係

• 16回目Session 16

  養親子関係の成立・解消、養子縁組と特別養子制度

• 17回目Session 17

  養子縁組の無効・取消し、虚偽の出生届と親子関係

• 18回目Session 18

  親権制度、親権喪失と親権停止、児童虐待問題

• 19回目Session 19

  後見制度（成年後見制度・未成年後見制度）、扶養

• 20回目Session 20

  相続制度の概要、相続回復請求権、共同相続関係

• 21回目Session 21

  法定相続人の範囲、相続欠格・相続人廃除制度

• 22回目Session 22

  法定相続分と具体的相続分（特別受益と寄与分）、特別寄与料、配偶者居住権

• 23回目Session 23

  相続財産の範囲、包括承継と一身専属権

• 24回目Session 24

  遺産分割に関する問題（遺産分割の方法と手続き、遺産分割の効力）

• 25回目Session 25

  相続の承認と放棄（単純承認、限定承認、相続放棄）

• 26回目Session 26

  財産分離制度・相続財産の清算、相続人不存在と特別縁故者制度

• 27回目Session 27

  遺言の意義と方式（自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言等）

• 28回目Session 28

  遺言の効力、特定財産承継遺言・遺贈の効力、遺言執行者の職務

• 29回目Session 29

  遺留分に関する問題（遺留分制度の改正、遺留分侵害額請求権）

• 30回目Session 30

  これからの家族法

教科書・テキストTextbooks

　とりあえず、テキストとして、柳勝司編『家族法（スタンダール民法シリーズⅤ）第４版』（嵯峨野書院）を指定しています。大学生協で購入できるようにしています。他の教科書を使っている人はそれを使用してかまいません。自分が学習する際の教科書は必ず用意してください。
　ポケット六法など、六法も必ず用意してください。
　

参考書等References

　授業の際にとりあげる判例の学習のために、判例集として、『民法判例百選Ⅲ親族・相続（第２版）』（有斐閣）、『判例プラクティス民法Ⅲ』（信山社）、『新・判例ハンドブック（親族・相続）』（日本評論社）をあげておきますので、図書館等で参照してください。
　家族法についてより詳しく勉強したい人は、二宮周平『家族法（第５版）』（新世社）や窪田充見『家族法（第４版）』（有斐閣）を使用することをおすすめします。

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

　毎回の授業が終わった後で、復習問題に取り組んでおくことが課題となります。復習問題は、○×問題、事例問題、自分で調べる問題からなります。2回分の授業で1回分の復習問題を出す予定です。
　復習問題は、授業中に配布するとともに、Moodleにもアップします。

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

　復習問題の解答は受講生各自で自主的・積極的に進めてもらいます。復習問題の解答は、以後の授業の際に配布するとともにMoodleにもアップします。問題や解答について質問がある場合には、教員宛にメールしてください。個々の質問に回答するとともに、質問項目をまとめて、Moodleにアップしますので、参考にしてください。
　

成績評価の方法・基準Evaluation Criteria/Method

　15回目の授業終了後に出す中間レポート（テスト形式）の成績（配点40点）と期末テスト（配点60点）で成績を評価します。中間レポートは、〇×問題（配点20点）と論述問題（配点20点）です。期末テストは、○×問題（配点20点）と論述問題（配点40点）で出題します。
　論述問題については、問題点の把握、判例・学説の理解、論述の論理性・整合性の3点に重点をおいて採点します。
　テストの際に、自分で使用しているテキスト、六法、自分で作成したノート、授業で配布したプリントは使用できます。テキスト、六法への書き込みも可です。

履修上の注意Other Course Information

　授業の際には、簡単なレジメを配布（あらかじめMoodleにもアップします）しますが、当日のみ配布し、後日には配布しませんので、注意してください。
　授業の際には、携帯電話・スマートフォンなどの使用は厳禁です。また、授業中の教室への出入りは他の受講生の邪魔になりますから、避けてください。やむをえない場合には、教員にその旨を告げてください。
　質問がある場合は、研究室（学術研究所２２２）に来るか、メール（miyazaki@seinan-gu.ac.jp）で問い合わせてください。
　なお、新型コロナウイルス感染防止対策のために、大学の方針により対面授業が困難となって、遠隔授業でおこなうことになる可能性があります。