シラバス - 対人コミュニケーション論

  • ナンバリングコードCode
  • 科目名Subject Name
    対人コミュニケーション論
  • 担当者名Instructor
    宮原 哲
  • 単位Credit
    4
  • 履修年次Standard Year for Registration
    3-4
  • 学期Semester
    前期
  • クラスClass
  • 曜限Day/Period
    木曜3時限/月曜2時限
  • 教室Classroom
    L-304
  • 備考Remarks
    使用言語:その他または複数言語
  • 実務経験のある教員等による授業科目Taught by instructor(s) with practical experience

授業の到達目標Objectives to be Attained

 就職を含む、社会活動で最も重要と言われる「コミュニケーション能力」が何を指すのかを明らかにし、実践的スキルを習得することをゴールとする。
 新入社員を採用する企業が「コミュニケーション能力が最重要」としていることが、それが何を指すのか明らかにされないまま言葉だけが独り歩きしている。この授業では専門領域の研究を基に知識を習得し、就職活動をはじめ今後一人の社会人として生きていく上で必須の心構え、そしてスキルの習得を目指す。コミュニケーション能力は最終的には実際に目で見ることができる、耳で聞くことができる行動、実践ではあるが、それは価値観、知識、関心、感情、心構えなど、目に見えない層に支えられてこそ持続性のある能力といえる。
 また、これまでに欧米を中心に行われてきたコミュニケーション(対人・グループ・組織・異文化など)研究を「暫定的な基盤」としてとらえ、そこで唱えられる理論や主張がどの程度日本文化に適用できるのか、そして適用できない部分が何で、なぜ適用できないかを明らかにすることによって日本的コミュニケーションの特徴を明らかにすることができる、という考え方を取り入れて授業を組み立て、進める。

授業の概要Method of Instruction

 日本人にとってコミュニケーション能力が何を指すのかを考えるためには、日本以外の文化でのそれと比較、対照するのが最適である。そのためにも、交換学生などとの交流を積極的に進めた授業を組み立てる。
 英語専攻の専門科目であり、これから重要度を増す英語運用能力を向上させることもこの授業の重要な目的の一つとし、英語で書かれた文書を速読、精読し、内容を自分のことばに置き換えて人に伝える能力の習得も目指す。図書館のコミュニケーションに関する豊富な蔵書の中から特に自分が関心を持つ領域についての文献を読み、レポートを書いたり、発表したり、またさまざまな状況に応用できるロール・プレイをたくさん取り入れ、積極的に、また活発に参加することによって授業が成り立つよう工夫する。
 また、状況に応じてZoomなどの方法で遠隔授業を取り入れる場合もある。 

事前・事後学習、時間等Study Required outside Class(Preparation, etc.)

 対人コミュニケーション研究を進めるには概念(Concept)と状況(Context)を見定めることが必須であるため、各授業の前に扱う予定の概念や状況について文献はもちろん、各自の日常の生活の中で見出すことのできる「問題点」や、「疑問点」を明らかにしておくことが求められる。
 事後としては授業で扱う概念や理論が実際の状況にどのように適用できるか、あるいはできないかという点を中心に振り返ることが重要。

授業計画(各回の授業内容)Course Outline

  • 1回目Session 1
    クラスオリエンテーション
  • 2回目Session 2
    対人コミュニケーションの基礎概念
  • 3回目Session 3
    対人コミュニケーションの状況別考察
  • 4回目Session 4
    コミュニケーション能力(competence)の基盤を理解する
  • 5回目Session 5
    自分力(誰が)が示すことを理解し、自己概念と対人コミュニケーションとの関係を考える
  • 6回目Session 6
    自分力を促進するための方法としての自己開示について考え、理解、実践する
  • 7回目Session 7
    役割力(誰にと関連)を自分力との関連で理解し、実践的なスキルを考察する
  • 8回目Session 8
    相手(誰に)との関係に関するコミュニケーション理論の考察
  • 9回目Session 9
    人を動かす(影響を与える)コミュニケーション力について理解する
  • 10回目Session 10
    目的力(何のために)がなぜコミュニケーション能力能力の一環か考える
  • 11回目Session 11
    人間関係の具体的な目的を挙げ、目的に応じたコミュニケーション能力について考える
  • 12回目Session 12
    発信力(何を)=伝える内容の大切さ、難しさをコミュニケーション学の観点から考える
  • 13回目Session 13
    発信力の「構成・構造」の側面を考える
  • 14回目Session 14
    発信力(どうやって)=伝達の手段についての問題点を考える
  • 15回目Session 15
    前半のまとめ
  • 16回目Session 16
    メディアによって対人関係が受ける影響について考える
  • 17回目Session 17
    SNSをはじめとしたCMC(Computer Mediated Communication)の諸問題を理解する
  • 18回目Session 18
    「日本的コミュニケーション能力」について考えることの意義を理解する
  • 19回目Session 19
    日本的コミュニケーションの特徴:認識力
  • 20回目Session 20
    日本的コミュニケーションの特徴:目的力
  • 21回目Session 21
    日本的コミュニケーションの特徴:発信力
  • 22回目Session 22
    日本的コミュニケーションの特徴:自分力
  • 23回目Session 23
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:家族
  • 24回目Session 24
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:友人
  • 25回目Session 25
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:恋人
  • 26回目Session 26
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:夫婦
  • 27回目Session 27
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:組織
  • 28回目Session 28
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:異文化
  • 29回目Session 29
    特定の人間関係でのコミュニケーション能力:医療・介護
  • 30回目Session 30
    総まとめ

教科書・テキストTextbooks

宮原哲(2006).「新版入門コミュニケーション論」松柏社
Trenholm, S. & Jensen, Interpersonal communication. Oxford. (指定図書) 

参考書等References

なし 適宜Moodleで掲示する

課題の種類・内容Homework, Assignments, etc.

文献調査発表、レポート、ディスカッション

課題に対するフィードバックの方法Feedback Method

提出された課題は採点、コメントして返却する。発表は採点する。

成績評価の方法・基準Evaluation Criteria/Method

小テスト・・・・・・・・30%
定期試験・・・・・・・・20%
リサーチ・ペーパー・・・25%
ディスカッション・・・・15%
プレゼンテーション・・・10%

履修上の注意Other Course Information

 授業も対人コミュニケーションの一つの場ととらえ、積極的に「授業を作る」意欲をもって臨んでもらいたい。留学生との交流、ディスカッションの場も設定するので自発的な行動をすることが必要。